手術が必要な場合は、希望の病院がありましたら紹介いたします。私が執刀する場合は、関連病院で手術をいたします。
以下に乳がん手術の種類について簡単にご紹介いたします。
比較的、小さなしこり(がん)を対象とした手術です。乳房を残しながらしこりと周囲の乳腺組織を含めて採る方法です。その事によって、反対側乳房と不釣り合いがなるべくないように手術をします。脇のリンパ節は、転移が疑われる場合は、すべて採るよういにしますが、後述のセンチネルリンパ節生検をする場合もあります。
基本的には、この手術をした1カ月後に、手術をした乳房に放射線治療を放射線治療の機器のある病院で行います。
しこりが大きく、乳房温存手術では、確実にがん病巣が採りきれない場合や、温存手術を望まれない方に、病変側の乳房を切除します。ただし通常、胸の筋肉(大胸筋、小胸筋)を残します。
しこりが大きいが、全乳房切除は希望したくない場合に、乳房の中の乳腺すべてを採り、乳頭を残す手術です。この場合、左右の乳房の立体的な違いが出るため、比較的、小さな乳房(乳腺の厚みが薄い)に適しています。
上記のすべての手術に適応があれば行います。その適応とは、手術前の検査(エコー、マンモグラフィ、MRI、PET)で、リンパ節転移の所見が無い場合に限ります。方法は、色素法ないしICG蛍光法などになります。それらの仕法で、脇のリンパ節1個ないし少数個を採って、リンパ節転移が無い事を病理検査で確認します。
この利点は、術後の手術した方の上肢(腕)のむくみ(浮腫)や、脇の周囲の痛み、知覚麻痺の影響が少なく、術後の採血も患側の腕から採れます。